なぜ集客戦略が必要なのか?
多くの場合、個人経営の店舗は「ヒト・カネ・モノ・時間・情報」の全てで大手チェーン店に勝つことは難しいです。
その状況で戦略を立てずに集客をしてしまうと、知らず知らずのうちに大手チェーンや強力店と同じ土俵で戦うことになってしまいます。
また、しっかりと戦略を考えずに、付け焼刃的なクーポンや施策を行っても、お客様が増えるのはその時だけ。継続的な集客に繋がりません。
今回は、そんな状況を回避するための”根本的な”集客戦略の考え方とその進め方を解説します。
戦略なきウェブ集客が陥る末路
現在、ウェブを使って集客をしているお店がほとんどかと思いますが、小手先だけのウェブ活用になっていませんか?
「”とりあえず”10%割引のクーポンを出している」「”とりあえず”商品の写真や料理の写真を出している」「”とりあえず”ほかのお店と同じ感じの情報を掲載している」
仕事柄、特に飲食店のウェブ状況を多く見ますが、”とりあえず”の状態でウェブ集客を行っているお店をよく見かけます。
お店側にはそんなつもりはないかもしれませんが、「ヒト・カネ・モノ・時間・情報」が足りないばかりにそのような状況に陥っています。
その結果、ウェブ集客に費用をかけてもお客様が満足に集まらない。集まってもリピーターにならない状態になっています。
集客戦略の考え方~ランチェスター戦略~
「ランチェスター戦略」という考え方をご存じでしょうか?
ランチェスター戦略とは、「弱者が強者に勝つための考え方」で元々は戦争で勝つための戦略決めで使用されている考え方です。
このランチェスター戦略を店舗で使えるように簡単に要約すると、「自社の強みポイントとメインターゲット像を把握し、限られた資源を強みの差別化や効果的な販促に集中させ、局地戦でNo1を目指す」という内容です。
例えば、「ウェブ集客はよくわからないけど、SNSをやっていれば大丈夫かな」という考えでウェブ集客に取り組んでいるお店があるとします。
また、ウェブ集客以外にも外の看板を出してみたり、地域の雑誌に掲載されたりとオンライン・オフラインの両方で集客に取り組んでいるとします。
多くの個人店がこのような状況なのではないでしょうか?
多くのお店が陥っているのが「誰に何を伝えたらいいのかわからない」状態
この状態を脱却するために、まずは「競合店(お客様がイメージするお店)と差別化できそうなポイント」を探しましょう。
強みになりそうなポイントをいくつか挙げ、「はたして競合と比較して圧倒的なのか?」という観点から戦略の軸に据える強みの設定を行います。
ここで注意したいのは、その強みは”自店にしかないのか?”・”圧倒的なのか?”という点です。
「味が美味しい」「接客が良い」「価格が安い」などは圧倒的でない限り、強みになりません。
「権威のある第三者から評価されるほど味が美味しい」「お客様が感動して涙するほど接客が良い」「他店舗では絶対に提供できないくらい価格が安い」
これくらい圧倒的でなければ”強み”になり得ません。
また、自分たちだけが思っている強みではなく、お客様目線で見て”刺さる”強みであることも必要です。
競合視点・お客様視点で見たときに圧倒的な強みが無ければ、経営努力で作り出すか、強みになり得る土俵を見つけだしましょう。
「数の土俵」「味の土俵」「質の土俵」「人の土俵」「雰囲気の土俵」など俯瞰してみると意外と見落としている土俵もあるものです。
また、個人店の場合、ターゲットをどれだけ絞るのかは属する商圏の大きさによって変わります。
商圏が狭いのにターゲットを絞りすぎると、「そんなターゲットいない」状態に陥ります。
ターゲットは、強みが刺さる人はどんな人か?商圏内にどれくらいその人がいるのか?を念頭に考えましょう。
圧倒的な強みの把握・ターゲットの選定ができると「だれに何を伝えるのか」が明確になり、集客戦略の軸を決めることができます。
ランチェスター戦略の中で、弱者が取るべき戦い方は「局地戦」である
局地戦での競争力は「競争力=武器性能(質)×兵力数(数)」で考えます。
飲食店の場合、「武器性能=強み」、「兵力数=ターゲットとのタッチポイントの数」とす
るとわかりやすいでしょう。
要するに、費用を抑えながら強力店に勝つためには「”圧倒的でお客様に刺さる強み”を”ターゲット顧客がよく見る場所で可能な限り多く見てもらう”」ということになります。
ここは”かけ算”になるという点が重要です。
武器性能・兵力数のどちらも強いのが理想ですが、武器性能が低ければ兵力数を上げたり、その逆も然りです。
ここでやっと出てくるのが、ウェブサイトやGoogleビジネスプロフィール、InstagramなどのSNS、チラシ配布、ポスティングなどの”広告手段”です。
それぞれの媒体の特徴を生かしながら、より多くのターゲットに圧倒的な強みを知ってもらうのです。
戦略を決めた後はどうすればいいのか?
集客戦略の軸を決めた後は、前述の通り、「どうやって伝えていくのか=手段(戦術)」の話になります。
手段としては、オンラインはウェブサイト・グルメサイト・Googleビジネスプロフィール(MEO)・SNSなどが挙げられるでしょう。
また、オフラインでは店前や近くでのチラシ配布・ポスティング・雑誌掲載・看板設置が挙げられるでしょうか。
ここまで読んだかたであればわかると思いますが、広告宣伝はあくまで”手段”であり、広告を出したりクーポンなどを掲載するのは目的ではないということです。
「グルメサイトにのせているだけ」「SNSを更新しているだけ」では集客できない理由は、広告宣伝はあくまで”手段”であり、戦略ではないことに気づかないまま運用している為です。
手段は”軸(戦略)”が明確になっているから、効果を出してくれるのです。
戦略無く広告宣伝を考えてしまうと、「誰にも何も伝わらない」状態になり、結果も出ません。
「みんながやっているからInstagramを更新している」「どこかで見つけたクーポンの内容をマネしてみた」ではお客様も来ませんし、リピートにもつながりません。
何を誰に伝えたいのかを把握し、各媒体の特徴を把握したうえで広告手段を選定しましょう。
個人飲食店の集客戦略の進め方と実行方法のまとめ
上記の内容で戦略と戦術を決めた僕の担当飲食店では、コロナ前(19年同月比)で150%の売り上げを達成しました。
しかも、”販促費をプラスでかけずに”です。
ここまでやった上で、リピーター獲得としてクーポンを出したり、店内イベントを行ったりすることで、新規顧客のリピーター化を目指すことができます。
「誰に(ターゲット)何を(圧倒的な強み)伝えるのか」
時には戦略を誤ってしまうこともありますが、それを素早く察知するために各種媒体の「データ」を使いましょう。
お客様の来店数や媒体のPV数、予約転換率、Instagramのプロフィールアクセス数などデジタル上でお客様の動きを把握する手段は多く存在します。
「媒体に載せれば売り上げが上がる」「Instagramを更新すればお客様が見てくれる」「クーポンやイベントをすればお客様が来てくれる」
そんな時代は終わりました。
これからの時代を勝ち抜くために、しっかりと戦略を立てていくことをおすすめします。